【研究概要】
動機づけは人が行動を起こすプロセスとして重要な概念として定義されています.しかし,先行研究では脳卒中患者のリハビリテーションに対する動機づけが与える影響については明らかにされておらず,特に動機づけの質の影響については検討されていない現状にありました.本研究では回復期病棟に入院中の脳卒中患者を対象として,リハへの動機づけの質的要因が,対象者が自己決定した目標に対する遂行度・満足度や健康関連QOLの主観的評価や,回復期機能評価のメインアウトカムである機能的自立度(FIM)に影響を与えるか明らかにすること目的としました.その結果,他律的(誰かのためにリハビリに参加する動機づけ)が高い方が,役割や社会的健康関連QOLと,設定した目標に対する遂行度が有意に高くなることが明らかになりました.
【刈屋さんからのコメント】
動機づけの質の影響が明らかになることで,対象者の目標をセラピストと共有する際に,目標設定時に心理的に内在している目標の選択理由をセラピストが捉えるための一助となると考えます.今回の結果では回復期脳卒中患者において他律的で誰かのためにリハビリを頑張るといった動機づけの効果が認められたため,対象者の家族や職場など社会的環境因子をセラピストが把握することの重要性と,動機づけに即した目標達成のためのリハビリテーションプログラムを立案することで,活動促進やQOL向上が期待されると考えます.
本研究に御協力いただきました対象者の皆様,担当OTスタッフの皆様,ご指導賜りました指導教員である能登教授並びに相馬教授,犬飼准教授に感謝申し上げます.
【論文掲載】
Takashi Kariya, Shinichi Noto. Effect of Motivational Autonomy on Rehabilitation in Convalescent Stroke Patients. Asian Journal of Occupational Therapy. 20: 21−28, 2024.
Comentários